第1回 上州達磨寺編
達磨寺で有名な少林山達磨寺は、群馬県高崎市の西に位置します。
そこでなにやら気になるものを見つけました。
座禅道場の屋根の上の『水』の紋様です。
興味を持って住職にお話を聞くと、意外な事実が判明。
そして思わぬ美味しい料理にたどり着きました。
「水のマークは、よく『火災予防のおまじないですか?』なんて聞かれますが、あれは水戸徳川家から賜った寺紋なんです」と、住職の広瀬正史さんがおっしゃるように、水戸徳川家の「水」がとても誇らしげに屋根の上から私たちを優しく見下ろしています。でも、このお寺が水に関係していないかと言うと、そうではありませんでした。
まだ、この地に小さな観音堂しかなかった頃(延宝年間1673~1680年)、近くを流れる碓氷川が大洪水で氾濫したことがあったそうです。
その時、流れ着いた古木を霊木として観音堂に奉納しておくと数年後に老行者が現れ、達磨大師の座禅像を彫りあげました。これが、少林山と達磨の関係の始まりと言われています。いわば洪水の水が達磨を運んできてくれたわけですね。
さて、話を料理に進めましょう。料理には水が大切ですが、少林山達磨寺では、本堂の真下、数十メートルに水源を持つ地下水をくみ上げ料理に使用しています。
というのも、このあたりは地すべりを起こしやすいことから、その対策として地下水をくみ上げているのだそうです。
この地下水は、夏も冬もほとんど水温の変化がなく、近郊からももらいに来る人がいるくらいの名水です。
普茶(ふちゃ)」とは、「身内で分け隔てなく茶をともにする」という意味で、堅苦しくなく、みんなで和気あいあいといただく料理です。一皿に4人分盛り付けているのもその表れです。
もともとは中国福建地方の禅院で行なわれていた精進料理で、江戸時代初期、いんげん豆を伝えた黄檗宗の開祖、隠元(いんげん)禅師によって伝承されました。
ちなみに隠元禅師の伝えたものには、蓮根、スイカ、孟宗竹などがあります。
ほかの禅宗各派の精進料理と同様、肉や魚などの生臭物を使っていませんが、この多彩な料理の種類とその洗練された調理技術は際立っています。ゴマ豆腐や、今回の雲片(野菜の葛かけ)など、日本料理全般に影響を与えたものも少なくないと言われています。
そしてなにより、太りすぎや健康を心配している人には、この繊維質、ビタミン豊富な野菜中心料理は、安心して食べられるヘルシーメニューなのです。
今回のテーマは、オール浄水システム「アクアス5」をご愛用のユーザー様へ毎年お届けしている、会報誌「あめんぼ」に掲載されている『水のある風景』から抜粋しました。
地元群馬でありながら、意外と知られていないスポットがあることに驚かされたのと同時に、これからも残して行きたい景色がたくさんあることに気付かされました。
これから定期的にみなさまに、未来に残して行きたい大切な景色として「水のある風景」をお届けします。
どうぞお楽しみに! (2002年5月発行 あめんぼより)